0569-20-0415

【受付時間】9:00~12:00 / 14:00~18:30
※水曜午後、土曜午後、日祝休診。

花粉症・通年性アレルギー性鼻炎

POINT

舌下免疫療法を取り入れています

アレルギー性鼻炎の根本的な体質改善を目指す治療法として、舌下免疫療法を積極的に行っています。アレルゲンを含む錠剤を毎日舌の下に含むことで、徐々に体を慣らしていく治療です。5歳以上のお子様が対象で、スギ花粉症とダニアレルギーに対する治療薬があります。3~5年の継続により、約7~8割の方で症状の改善や薬の減量が可能となります。自宅で行える治療のため、通院負担が少なく、長期継続しやすいことも大きなメリットです。

舌下免疫療法

アレルギー性鼻炎について

アレルギー性鼻炎はアレルギー反応によって鼻の粘膜に炎症が起こり、鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどの症状が慢性的に表れる病気です。原因物質(アレルゲン)が本来体を守る免疫システムによって「異物」と誤って認識され、過剰に反応することで起こります。アレルギー性鼻炎は2種類あります。

季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)

特定の季節に飛散する花粉が原因の疾患です。スギ花粉症が最も多く、次いでヒノキ、イネ科、ブタクサなどがあります。連続するくしゃみ、水のような鼻水、鼻づまりに加え、目のかゆみも伴うことが特徴です。小さなお子様は症状を的確に伝えられず、鼻をこする、口呼吸、集中力低下などのサインで気づくことがあります。重症化すると副鼻腔炎や中耳炎を合併するリスクも高まるため、早期の診断と治療開始が欠かせません。

通年性アレルギー性鼻炎

季節を問わず症状が続くタイプで、主な原因はダニ、ハウスダスト、カビ、ペットの毛などです。朝起きた時に症状が強い「モーニングアタック」が特徴的です。慢性的な鼻づまりにより、いびきや睡眠時無呼吸、口呼吸による扁桃炎なども起こりやすくなります。成長期の子どもでは、顔面の発育にも影響を与える可能性があります。

子どものアレルギー性鼻炎のサイン

大人と同じく「くしゃみ」「鼻水(サラサラとした透明な鼻水)」「鼻づまり」が3大症状です。しかし、小さなお子さんでは症状をうまく伝えられないため、以下のようなサインに注意が必要です。

  • 頻繁に鼻を触る
    鼻をこする

  • 鼻をすすり上げる

  • 口呼吸をしている

  • 繰り返す鼻血

  • 目の周りをこする
    目を掻く

  • 目の充血

気管支ぜんそくとの関連

鼻と気管支は一続きの気道です。そのため、鼻呼吸ができないと冷たく乾燥した空気が直接気管支に入り、ぜんそく発作を誘発することもあります。アレルギー性鼻炎があると、ぜんそく発症リスクが数倍高くなるとされています。

検査

血液検査

特異的IgE抗体

特定のアレルゲン(アレルギーの原因物質)に対して体内で作られるIgE抗体のことです。例えば卵アレルギーの場合、卵のタンパク質(卵白中のオボムコイドなど)に特異的に反応するIgE抗体が血液中に存在します。

スクリーニング検査

アレルギーのスクリーニング検査として行う事があります。一度の採血で39種類ものアレルゲンに対する特異的IgE抗体を同時に測定できます。アレルギーの原因が特定しにくい場合や複数のアレルゲンに反応している可能性を調べる際に行います。

プリックテスト

皮膚の表面でアレルギー反応を再現し、原因物質を特定する検査です。前腕の皮膚に少量のアレルゲンを置き、専用の針で軽く刺激を加えます。ある程度の時間が経過したら、反応を確認し、赤みや膨らみの大きさでアレルギーの有無を判定します。血液検査と比較して、より生体内の反応に近い結果が得られることが利点です。複数のアレルゲンを同時に検査できるため、効率的な診断が可能となります。

鼻汁好酸球検査

鼻水の中にアレルギーに関わる細胞(好酸球)があるかを調べます。

治療

小児のアレルギー性鼻炎の治療はアレルゲンの除去・回避、薬物療法、アレルゲン免疫療法の三つが柱です。まず、ダニやハウスダスト、花粉といった原因物質(アレルゲン)をできるだけ生活環境から取り除くことが大切です。次に、症状を和らげるために、抗ヒスタミン薬の内服や鼻の炎症を抑えるステロイド点鼻薬を使用します。これらの治療を組み合わせ、お子さんが快適に過ごせるようサポートしていきます。

舌下免疫療法

舌下免疫療法はアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に取り込むことで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげることを目指す治療法です。特に、スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療に用いられます。

対象となる方

アレルギー性鼻炎の診断

血液検査などでスギ花粉またはダニに対するアレルギーがあることが確定診断されている必要があります。

症状

症状が軽度から中等度で、内服薬や点鼻薬だけでは症状が十分にコントロールできない場合などが対象となります。

年齢制限

5歳以上

服薬の理解と継続

毎日、長期間(3~5年)にわたって薬を舌の下に保持し、飲み込むという治療を継続できるお子さんが対象となります。保護者の協力も不可欠です。

他の病気

重度のぜんそくや心臓病、免疫系の病気などがある場合は、治療ができないことがあります。

効果

症状の緩和

アレルギー症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど)の改善が期待できます。

内服薬の減量

症状が改善すれば、抗アレルギー薬などの内服薬を減らせる可能性があります。

体質改善

長期的に継続することで、アレルギー体質の改善も期待できます。

副作用

以下のような副作用が起こることがあります。

口腔内の症状

口の中のかゆみ、腫れ、イガイガ感、舌のしびれなどが最も多く見られます。これらは治療開始早期に現れることが多く、次第に慣れてくることがほとんどです。

消化器症状

腹痛、吐き気、下痢など。

全身症状

くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の症状、蕁麻疹などアレルギー症状が悪化することがあります。

アナフィラキシー

ごく稀に、全身に強いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こる可能性があります。そのため、初回投与は医療機関で行い、緊急時の対応を確認します。

日常生活の注意点と家庭でのケア

鼻うがい

生理食塩水で鼻の粘膜に付着した花粉やハウスダストを洗い流すことは、症状の緩和に役立ちます。

規則正しい生活

十分な睡眠、バランスの取れた食事は、免疫力を高め、アレルギー症状を悪化させないために重要です。

乾燥対策

冬場は加湿器などで室内の湿度を適切に保ちましょう。

風邪の予防

風邪をひくと鼻炎症状が悪化しやすいため、手洗い・うがいを心がけましょう。

鼻をかむ習慣

鼻水がたまったら、強くかみすぎないように注意しながら、こまめにかむようにしましょう。

アレルギー性鼻炎Q&A

Q小さな子どももアレルギー性鼻炎になりますか?
Aなります。近年、子どものアレルギー性鼻炎は増加傾向にあり、特に5~6歳頃から症状を訴えて受診するお子さんが増えます。赤ちゃん(1歳未満)で花粉症になることは稀ですが、ダニなどによる通年性アレルギー性鼻炎の赤ちゃんはごく少数ですが存在すると報告されています。
Q子どもがいつも鼻水・くしゃみをしています。風邪との違いは?
A風邪は数日~1週間程度で治まるのが一般的ですが、アレルギー性鼻炎は長期間続く鼻水・くしゃみ・鼻づまりが特徴です。特定の季節や場所で症状が強くなる場合、アレルギーの可能性があります。
Qアレルギー性鼻炎は治る病気ですか?
A完全に「治す」ことは難しい場合がありますが、症状を軽くして快適に過ごすことは可能です。お薬による治療や環境整備、場合によっては舌下免疫療法なども検討します。